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鋼橋とは – 高い技術力に基づき鋼で造られた橋梁

鋼橋

【鋼橋】(こうきょう)

主要構造に鋼材を使用し鋼板とボルトを組み合わせて作る橋。

橋には様々な形があり、主部材や構造形式により橋の名称が異なります

例えば木橋は丸太などの木質材料を主部材とし、複合橋はコンクリートと鋼材を合わせた造りとなっています。

こちらの記事では鋼橋と呼ばれる橋について学ぶととともに、日本の有名な鋼橋を参考にその力の加わり方など構造の秘密に迫ります。

鋼橋とは

鋼橋とは橋の主部材に鋼材が使われ、鋼板とボルトを組み合わせて建設する橋のことです。主桁や主構など主要部には鋼が使われ、桁厚には厚みがあるのが特徴です。

鋼橋はPC橋(コンクリートを圧縮して建設する橋)に比べ伸び縮みする量が多く、気温が1℃上がると伸縮量に1.2倍の差が生じます。

そのため鋼橋に橋梁用伸縮装置を施工する際には、たわみや揺れを考慮して規格の大きな装置が設置されます。

鋼は比強度が大きいため、材質が強く軽いという性質があります。

そのためコンクリート造りの橋と比べて重量が軽いため、支間長の長い架橋に度々用いられています。

鋼橋のメンテナンス

支承

鋼は鉄(Fe)と炭素(C)から成り立つ素材のため、鋼橋は使用するにつれ次第に腐食が目立ち始めます。

鋼材に発生したサビはひび割れや欠損の原因となり、腐食の進行により都度メンテナンスが行われます。

特に沿岸部に建設される橋は塩害の影響を受けやすく、また漏水や帯水が多い箇所でも損傷が広がる恐れがあります。

ボルトのゆるみや破断、亀裂の発生など橋の損傷は重大な事故に繋がる恐れがあることからメンテナンス工事が行われますが、現場ではどのような作業がなされているのでしょうか。こちらでは様々あるうちの2つをご紹介しています。

防食と塗装

鋼材の腐食を防ぐ方法として度々採用されるのが塗り替え工事です。

サビつきや剥がれている部分などを塗装修理し、重防食塗装などを行います。

ボルト付近など局所的な損傷が見受けられる際は、局部補修が実施されます。

また補修の頻度が多い場合は、腐食環境を改善させるため根本的な対策を取るために漏水・帯水対策工事が行われます。

高力ボルト取替工事

高力ボルトとは、橋梁を含め鉄骨建造物に使用される強度の高いボルトのことです。

締め付けの際には一次閉めをした後に本締めがなされ、また安全上使用は一度きりと規定されていることからその頑丈さは折り紙付きです。

高い耐久性を持つ高力ボルトですが、年月が経てば劣化は避けされず部材同士の結合にゆるみが出てくるなど営繕が必要となってきます。

取替工事では状況に応じて欠損が見られるカ所のみの作業と場合もありますが、全ての高力ボルトを交換することも多くあります。

様々ある鋼橋の形

普段私たちにとって馴染みのある橋は鋼橋であることが多く、またその形は様々です。特に大型の架橋は支間長が長いため、強度が高い上に軽量化が図れる鋼材が使われます。日本で特に有名な3つの長大橋から橋の形式と特性についてご紹介します。

横浜ベイブリッジ(神奈川)

橋長が860メートルの横浜ベイブリッジは斜張橋の形式を採用しており、港町の景色に溶け込んだ大型の架橋です。

床板には鋼床版が使用され、総鋼重は54,941トンにもなります。

斜めに張られたケーブルで主塔と主桁を繋げ、橋梁構造としては主塔・橋桁・ケーブルの3つで支えられています。

ケーブルはファン型という貼り方が採用され、主塔・橋桁・ケーブル、そして橋を両端で支える支承に力が分散して加わるよう設計が取られています。

明石海峡大橋(兵庫)

世界一の支間長を誇る明石海峡大橋は、橋長が3,199メートルであり本州と四国を結ぶ大動脈として1998年に開通した長大橋です。

形式は吊橋形式であり鋼製橋梁として世界的にも有名な橋ですが、主塔の高さは東京タワー(333メートル)とほぼ同じであり、その規模の大きさが分かります。

明石海峡大橋はトラベラークレーン工法という架設工法が採用されました。

桁上に巨大な重機であるトラベラークレーンの走行軌条設備を設置し、桁の架設と重機の前進を繰り返すことで建設が進められます。

東京ゲートブリッジ(東京)

東京湾のシンボルである東京ゲートブリッジは、3経口連続トラス・ボックス複合橋という形式が採用された特殊な架橋です。

通常のトラス構造にランドマーク性を備えたこちらの巨大橋は、合成トラスと鋼床版箱桁を組み合わせた最新の技術が搭載されています。

複雑な形状を採用した東京ゲートブリッジは、緻密な計算と解析、試験などにより疲労耐久性の向上やコスト縮減が実現した新手法の架橋です。

日本で鋼橋が多いワケ

日本の橋の多くは鋼材を採用しており、それは他国と比較しても使用実績が多いとされています。

鋼材には高張力材や対候性材など種類が豊富にあり、建設環境や橋の特性に合わせ主部材を選べるため使い分けができる点が大きなメリットとなっています。

特に日本では地震による被害が甚大となることから、衝撃に対して引き延ばされる性質を持つ鋼材が選定されやすくあるのです。

また鋼材はコンクリートに比べ強度が高いため、安全面でもメリットが多くあります。

まとめ

鋼橋とは、強度が高くそれでいて軽いという特性を持つ架橋のことでした。

橋の形状は様々ありますが支長間の長い橋ほど鋼材が使用されており、吊橋や斜張橋など大型の橋の多くが鋼橋です。

鋼材は材質がもつ性質により、経年によってサビつきやひび割れなどの損傷が表れますが、それ故にメンテナンスは定期的に行われ、安全性が保たれています。

橋梁は交通インフラの一部としての役割だけでなく、景観と一体になることで美しい景色を創り出す巨大構造物でもあります。

東京ゲートブリッジなど最先端の技術が結集した架橋では、新手法や積極的に新たな技法を取り入れています。

土木技術の革新はまだまだ発展途上なのです。