二次止水材は、伸縮装置から漏れ出た雨水等が橋梁の下部に流れないよう設置されます。その目的は、橋梁の耐力を保持して安全性を高め、長期的に使ってコストを低減するためです。
そのため、伸縮装置を製造するメーカーで様々な形式の二次止水材が作られています。ただし、すべての橋梁で設置するわけではなく、環境や条件を考慮して必要性を考えることが大切です。
この記事では、伸縮装置の二次止水材の役割とメーカーの製品をピックアップして紹介します。また、設置を検討する際のポイントまで解説しますので、二次止水材を考える上で参考にしてください。
伸縮装置における二次止水材の役割

伸縮装置に取り付ける二次止水材の役割は次の2つです。
- 要求される伸縮装置の耐用年数を保つ
- 止水性を高め橋梁下部への漏水を防ぐ
NEXCOの設計要領では、伸縮装置の耐久年数は30年が要求されています。しかし、伸縮装置の止水材はゴムを使っているケースが多く、劣化や施工不良により止水材が脱落するのが早い、という調査結果もあります。
そのため、漏水が起きた場合に装置の下で水の流れを防ぐのが二次止水材です。これにより、伸縮装置全体の止水性を向上させ、漏水の防止をして橋梁の耐久性を高めています。
寒冷地での二次止水材
寒冷地においては、二次止水材はもうひとつ重要な役割があります。それは、凍結防止剤による塩害を防止する、というものです。
路面上の水分が凍らないよう雪が降る前に散布する塩化物のこと
凍結防止剤が溶けた雨水などが橋梁の下部に流れると、鉄筋の錆びやコンクリートのひび割れを引き起こす可能性が高まります。
その結果、橋梁の耐久性が落ちてしまうため、寒冷地では発注する段階で二次止水材の設置を指定されるケースが多いです。
伸縮装置の二次止水材製品を紹介

二次止水材は伸縮装置を取り扱う各メーカーで製品化されています。ここではその製品を一部ピックアップしてご紹介します。
有限会社クリエート中川
ジョイント部で一次止水(止水ゴム)、その下に止水ゴムシートとドレンパイプを設置することにより二次止水を行っています。
株式会社クリテック工業

遊間に置いて、アンカーバーを床版と固定するタイプの二次止水材です。
樋は補強布が入った厚手のゴムシートで、伸縮装置本体に二次止水材を取り付けた一体型のものもあります。
ショーボンド建設株式会社
「クローザー」という名称で販売されています。繊維補強ゴムシートを使用した二次止水材です。
中外道路株式会社
「ダブル止水ユニット」という名称で販売されています。
遊間に置いて床版と固定する「A工法(床版取付型)」と、製品本体に固定する「B工法(本体取付型)」があります。


東京ファブリック工業株式会社

一次止水をシール材で行うことによって、ゴムパッキンで二次止水、そしてゴム樋で三次止水を行っています。
二次止水材を検討する場合の注意点

伸縮装置の止水性を高める上で二次止水材はとても重要ですが、必ず設置するものでもありません。
設置する環境を鑑みてどうするか検討しますが、特に以下2点はポイントとなります。
- 設置費用
- はつり作業の有無
二次止水材を取り付ける場合は、その製品と施工にコストが必要です。橋梁の環境次第では、伸縮装置の劣化が進みにくい可能性もあるので、定期点検や補修などのランニングコストも踏まえて考える必要があります。
また、二次止水材は厚みのある製品が多いです。遊間の幅が狭いと、二次止水材や排水パイプの設置で床版の斫り作業(取り壊し)が生じるので、桁遊間が狭い場合は気をつけましょう。