橋台や橋脚の足元には、橋にかかる荷重を地面に伝えるための基礎が設けられています。基礎はその作りによって3つに分類されていて、それぞれに特徴が違います。
この記事では、橋梁の基礎の種類と特徴について解説しました。加えて、各基礎の使用割合とその推移までまとめましたので、橋梁の知識としてご活用ください。
橋梁に使用する基礎の種類
橋梁に用いられる基礎には様々な種類があります。それぞれに特徴も異なっており、使用する環境や予算等を考慮して適切な基礎を選ばなくてはいけません。
主な橋梁の基礎は次の3つが挙げられます。
- 直接基礎
- 杭基礎
- ケーソン基礎
直接基礎
支持層(地盤層)が浅い場所に用いられる基礎です。地盤が硬いことが前提であり、柔らかい場所で使うと時間と共に沈下して傾いてしまいます。
直接基礎にも種類が分かれており、フーチングがその代表です。フーチングは橋台や橋脚の足元を幅広くし、橋の荷重を分散させています。
杭基礎
支持層が深い場所に用いられる基礎で、6割を超える橋梁に使用されている代表的な方法です。杭を深くまで打ち込み支えており、杭には木材やコンクリート、鋼などが使われています。
また、杭基礎の中でも場所打ち杭工法や既製杭工法など様々で、基礎の中では最も分類が多いのも特徴です。
ケーソン基礎
鉄筋コンクリートの箱を深い支持層まで掘り下げることで橋梁を支える手法です。1960年ごろは使用される割合が多かったものの、杭基礎の技術発展により今はほとんど見られなくなっています。
この基礎は3つに分類されており、大気中で行われるオープンケーソン、圧縮空気を使用するニューマチックケーソン、陸上で箱(ケーソン)を作り設置する設置ケーソンに分かれます。
各基礎の使用割合
橋台・橋脚の足元にある基礎は、橋梁のサイズや環境によって工法が異なります。その使用割合は平成27年の調査でわかっており、以下がその結果です。
杭基礎が63.2%、直接基礎が18.3%、ケーソン基礎で1.3%でした。
なお、深礎基礎は場所打ち杭工法の一種に入るので、合わせると杭基礎は79.2%です。そのため、日本に存在する橋の約8割は杭基礎により構成されていると言えます。
年代別の基礎選定の割合
橋梁の基礎は技術の進歩とともに使用割合も変化してきました。1966年以降の調査では次のように推移しています。
以前は直接基礎とケーソン、杭基礎がほぼ同じ割合でした。しかし、橋の大型化により荷重が増えたことで直接基礎は減少し、杭基礎の開発が進んだことでケーソン基礎も少なくなっています。