伸縮装置を設置する前に、多くの場合、メーカー側が設置用の幅を計算して設定します。
メーカーによって「予備圧縮」と言ったり「設置補正」と言ったりしますが、これは何のために行うのでしょうか?
ここではその目的と計算内容などについて解説していきます。
予備圧縮の目的
予備圧縮とは、伸縮装置の幅を納品前に工場で調整して固定しておくことです。
なぜこれを行わなければならないかというと、伸縮装置の標準の製品幅は標準気温時を想定しているので、
現地の状況に合わないことがほとんどだからです。
現地で手で調整するとずれが生じやすいので、納品前に工場で行うのです。
幅がずれないように幅止めの治具をつけておいて、設置時に外します。
予備圧縮の計算方法
基本的な考え方としては、
「現地の気温によって桁が伸縮しているのに合わせ、伸縮装置も同じだけ伸縮させておく」
ということになります。
計算式は以下の通りです。
a + ( t – b ) * Δ * L
a:伸縮装置の伸縮部の標準幅(mm)
t:標準気温(普通地域:15℃、寒冷地域:10℃)
b:現地の気温(設置時期の平均気温を取ることが多い)
Δ:線膨張係数(PC橋:10×10^(-6)、鋼橋:12×10^(-6))
L:伸縮桁長(mm)
予備圧縮が不要なケース
予備圧縮が不要なケースとして、以下の場合が考えられます。
①伸縮装置の幅が自由に調整できるように専用の治具がついている場合
予備圧縮治具が調整できるようになっている場合は、
現地で調整できるため予備圧縮が不要です。
②鋼床版に設置する場合
鋼床版に固定用のボルトを設置する際に幅決めを行うため、
予備圧縮が不要です。
まとめ
①伸縮装置は現地に合わせて予備圧縮が必要
②予備圧縮量は現地の気温によって桁が伸縮しているのに合わせる
③予備圧縮が不要なケースもある