伸縮装置を設置するとその周辺には隙間ができます。その隙間を埋めるために使用されるのが目地材(弾性シール材)です。
目地材は漏水を防止するために使用されていますが、これだけでは耐久性があまり高くはありません。そのため、橋梁に求める条件次第では、目地材と組み合わせて他の方法を使用することもあります。
この記事では、伸縮装置の目地材の役割と特徴を解説し、シール材を補う手法についてもまとめました。
伸縮装置における目地材の役割
伸縮装置は道路に切り込みを入れて設置するため、目地と呼ばれる継ぎ目が必ずできます。この継ぎ目に使用されるのが弾性シール材であり、主な役割は次の3つです。
- 装置と路面を接着する
- 緩衝材になる
- 漏水を防止する
接着剤と異なり、弾性シール材は柔らかいです。そのため、道路と装置をくっつける役割にプラスして、お互いが衝突して傷まないよう柔軟に動いてくれます。
そして、3つの中で最も重要な役割なのが漏水の防止です。
漏水すると橋梁の支承が痛んで橋の耐久性に大きく影響します。そのため、目地材で隙間を埋めることにより、水が伸縮装置の下に流れるのを防いでいるのです。
弾性シール材の欠点
弾性シール材は多くのメリットがある一方で、実は耐久性がそれほど高くはありません。
一般的にシール材の耐用年数は10年ほどとされています。しかし、漏水は伸縮装置を設置してから約6年で起きることが多く、シール材の耐用年数よりも約4年ほど短いのです。
漏水の発生原因が、全てシール材の損傷により発生するわけではありません。ですが、伸縮装置の損傷理由の約3割は止水・排水機能にある、ということも調査によりわかっています。
そのため、弾性シール材が傷んでいないか定期的に確認する必要があります。加えて、傷んでいる場合は目地材を取り替える必要があるため、ランニングコストも嵩むことになるのです。
欠点を補うための方法
漏水が発生すると橋の耐用年数にも大きく影響します。シール材はその大きな要因となる可能性が高いため、以下の方法で補うケースもあります。
- 二次止水材
- 簡易排水桶
- カバープレート
ただし、すべて別予算で追加となるため、必ずしも行われるものではありません。大規模な橋梁は、損傷するとその補修に多額の予算がかかるので、そのような場合にカバープレート等で補うことが多くなります。
以上です。弾性シール材は導入のコストは抑えられますが、定期的な補修でランニングコストがかかります。
その点を考慮して漏水への対策を検討することが大切です。