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伸縮装置の施工管理7つの要点【積算のポイントまで解説】

伸縮装置の施工管理には、装置に必要な強度や施工方法の選定、スケジュールの調整と多くの項目があります。その全体とそれぞれの内容を押さえた上で進めなければ、スムーズな打ち合わせが損なわれ、安全に関わる品質を保つこともできません。

この記事では、伸縮装置の施工管理の要点をまとめました。積算に関するポイントにも触れましたので、コスト面の管理も押さえることができます。

伸縮装置の施工管理7つの要点

鉄筋に溶接をする様子
鉄筋に伸縮装置を溶接する様子

伸縮装置の施工管理は、当日の施工だけをチェックするわけではありません。その前段階から、様々な内容を進捗管理することが求められます。

具体的な要点としては次の8つです。それぞれのポイントを解説します。

  • 施工全体のスケジュール
  • 伸縮装置の種類(強度)
  • 施工の方法
  • 使用するコンクリート
  • 施工当日の気候条件
  • 伸縮装置の製作日数
  • 製作及び施工コスト

施工全体のスケジュール

施工の全体スケジュールは、新しく装置を付けるのか、既存の装置を取り替えるのかで変わります。

  • 新設:橋桁の設計段階から
  • 取替:現地調査から

新設は、橋桁のメーカーと伸縮装置のメーカーが一体となり設計を進めます。一方で取替えは、設置されている装置とその周辺環境を調査し、現地に合わせた製品製作を行います。

取替えの場合は、施工当日のスケジュールが厳しいです。コンクリートのはつりから打設までをわずか1日で行うので、スムーズな施工が求められます。

また、鋼板版タイプになると、スタッド工が増えるなどして特殊な施工が必要です。取替えで規制時間に間に合わないようなら、はつり工の後は一度合材で埋め合わせ、別日に設置をするなどして対応しましょう。

伸縮装置の種類(強度)

伸縮装置には、大きく3つの種類があります。

  • 突合せ型
  • 荷重支持型
  • 埋設型

コストがお得な突合せ型、大きな荷重を支えられる荷重支持型、走行性の高い埋設型とそれぞれ特徴が異なります。交通量や伸縮量を元に、その道路に適したものを選ばなくてはいけません。

また、強度において重要なのが鉄筋の本数で、数が増えればそれだけ強固になります。設計書以上の本数で設置できているか、施工時には必ずチェックしましょう。

≫伸縮装置3つの種類【分類ごとの特徴と選び方を解説】

施工の方法

施工当日の流れは、先付けか後付けかで大きく変わります。道路を舗装する前に伸縮装置を設置するのが先付け、後に据えるのが後付けです。

メリットデメリット
先付け施工によって舗装が汚れない
後打ちコンクリートに防水工ができる
装置の高さ出しが難しい
後付け装置の高さ出しがしやすい
施工時間が短い
はつり作業で舗装が汚れやすい
後打ちコンクリートに防水工ができない

全体のスケジュールや品質にも大きく関わります。施工条件に合わせて十分協議しましょう。

≫伸縮装置の先付けと後付け【工法ごとの特徴とメリット・デメリットを解説】

使用するコンクリート

埋設型の装置とフィンガージョイント以外の伸縮装置の設置には、後打ちコンクリートの打設が必ず必要です。

コンクリートの種類
  • 普通コンクリート
  • 早強コンクリート
  • 超速硬コンクリート

これらは強度が出るまでの養生期間が異なります。超速硬コンクリートはわずか3時間で強度が発現するので、取替えにおいて使用されるのが一般的です。

必要な強度や条件は、特記仕様書や指定の仕様書に従います。超速硬コンクリートでは、24N/mm2の強度が基準です。

施工当日の気候条件

橋は気温によって伸び縮みするので、施工の時期によっては、伸縮装置の幅よりも遊間が大きく伸縮している可能性が高いです。

そのため、施工当日の気温等を調査し、その条件でメーカーに発注をしなければいけません。メーカー側は、その気温に合わせて予備圧縮をかけ、伸縮装置の幅を遊間に合うように調整して納品しているのです。

設計図や積算では考慮されないものの、実際の施工でとても重要なので意識しておきましょう。

≫設置前に要チェック!伸縮装置の”予備圧縮”とは?

伸縮装置の製作日数

伸縮装置の製作日数は、一般的には1〜2ヶ月ほど必要です。しかし、メーカーや伸縮装置の種類によっても変わるため、はっきりとは断定はできません。

特に補修においては、現地状況に沿って設計図を引き直すので、直前では間に合わないケースも。手配はできるだけ早めに行いましょう。

製作及び施工コスト

伸縮装置には市場価格が設定されています。しかし、装置の重量や種類によっても違うため、コストには注意しなくてはいけません。

また、施工にも市場単価が設定されていますが、一部の橋梁ではこの単価が適用されないことがあります。

市場単価が適用されない主な事例
  1. フィンガージョイントから簡易鋼製ジョイントへの取替え
    • 大規模な溶接が発生するため
  2. 鋼床版の伸縮装置
    • スタッド工などの特殊な施工が発生するため
  3. 重量型の伸縮装置
    • 吊り下しのためのクレーン等の手配等が必要なため

加えて、施工当日の人員は安全に施工する上でとても重要です。一般的には4mで特殊作業員が2名ほど必要となります。

フィンガージョイントでは、溶接工があるためさらに1名追加。ガードマンの配置は、片側規制で最低3名(両端と施工箇所)に配置しなくてはいけません。

施工後の確認内容

高さ出しをしている様子
伸縮装置の据付け高さを調節する様子

施工が終わった後は品質に関するチェック(出来高管理)を行います。品質が悪いと走行性に大きく影響し、装置の寿命を短くする要因にもなるためとても重要です。

主なチェック項目としては次の3つが挙げられます。

  • 据付高さ
  • 表面の凹凸
  • 仕上げ高さ

具体的な内容は、次の記事で解説しましたので以下をご覧ください。

≫伸縮装置の出来形管理(品質管理)|項目と主な内容を解説