伸縮装置の取り付け方法には、先付けと後付けの2つがあります。道路を舗装する前に装置を据えるのが先付け、舗装した後に据えるのが後付けです。
走行性で考えると、後付けした方がメリットが大きいですが、先付けすると全体工程がスムーズに進むため、新設では優先して先付けが行われています。
この記事では、伸縮装置の先付け・後付けの流れや特徴をまとめました。それぞれのメリット・デメリットも紹介しますので、施工をチェックする際の参考にしてください。
伸縮装置の先付工法の流れと特徴
先付け工法は、道路の舗装をする前に伸縮装置を設置する方法です。装置を据えたあと、まわりを型枠で取り囲み、その中をコンクリートで打設します。
一連の流れは次の通りです。
メリット
先付けのメリットは次の2つです。
- 舗装の工程に左右されない
- 装置固定用の配筋がしやすい
まず初めに伸縮装置を道路に据えて、その後に周辺の舗装を行うのが先付けです。そのため、配筋作業と装置を固定する溶接作業がしやすく、新設では先付けが優先して行われています。
ただし、埋設型の装置には、先付けできないものもあるため、事前の確認が必要です。
デメリット
先付けのデメリットは次の3つです。
- 型枠が必要になる
- 据付けの高さ調整が難しい
- 装置破損の可能性が高まる
伸縮装置と舗装は、高さを合わせて平坦にしなくてはいけません。しかし、舗装が後になるので、装置をどの高さに据えるべきなのか、その調整がとても難しいです。
また、高さ調整が上手くいかないと、装置への負担が余計にかかるため破損する可能性もあります。
伸縮装置の後付工法の流れと特徴
後付け工法は、道路の舗装を終えた後に装置を設置する方法です。取り付ける場所をカッターで切り出し、装置を据えて固定し、コンクリートの打設と養生を行います。
一連の流れは次の通りです。
メリット
後付けのメリットは次の3つです。
- 型枠が必要ない
- 据付けの高さ出しがしやすい
- 走行性が高い
すでに舗装が終わっているので、装置をどの高さに据えるべきかが明確です。仕上がりも綺麗で、平坦になるので走行性も高くなります。
また、舗装を終えているので、周辺を型枠で囲む必要がなく、取り外しもないので作業がスムーズです。
デメリット
後付けのデメリットは次の2つです。
- 舗装の工程に左右される
- 舗装が汚れることが多い
舗装した後に作業をするので、スケジュール調整が難しくなります。そして、カッターで切り取るので、周辺の舗装が汚れないように養生もしなくてはいけません。
また、橋面の防水機能もカットされるので、後打ちコンクリートに沿って防水層を立ち上げる場合は、後付けよりも先付けが望ましいです。
以上、伸縮装置の先付けと後付けについてまとめました。走行性の観点から、一般的には後付けが推奨されていますが、どちらにも良い面と悪い面はあります。
施工の条件に合わせて、どちらが適切かしっかりと協議することが大切です。