伸縮装置の施工は、新しく取り付けるか、既存のものを取り替えるかで流れが違います。また、先に装置を据えるか後にするか、更にはどの種類の装置を取り付けるかでも異なるので、手順は意外と複雑です。
この記事では、伸縮装置の新設をベースに、施工の基本的な方法をまとめました。施工ごとのポイントや注意点も解説しましたので、読めば概要はしっかりと押さえられます。
伸縮装置の基本的な施工手順
基本的な施工の流れは、先付け工法と後付け工法で異なります。路面の舗装より前に伸縮装置を設置するのが先付け、舗装した後にするのが後付けです。
装置を新たに設置(新設)する場合を例にすると、手順は以下の通りになります。

後付けは、舗装した後にコンクリートをはつり、伸縮装置を据え付ける方法です。これにより、舗装面と装置の高さを微妙に調整できるので、走行性が高くなります。
そのため、一般的には後付けによる施工が推奨されていますが、新設では先付けが優先されているのが現状です。
≫伸縮装置の先付けと後付け【工法ごとの特徴とメリット・デメリットを解説】
新設と補修(取替)の違い
取り付けている伸縮装置の交換をすることを補修、または取替と呼びます。補修についても、先付けと後付けの両方が行われています。
新設の場合は、橋桁も一緒に作るので、装置に合わせた事前の段取りが可能です。一方で、補修は現在のものと入れ替えるので、現地調査をして現場に合わせた製品を作る必要があります。
施工に関する注意点
伸縮装置の施工では、新設と補修に共通して注意すべきポイントがいくつかあります。具体的な例としては以下の通りです。
- 施工時の気温をベースに装置を発注する
- 装置固定用の鉄筋は強固に溶接する
- 据付の高さは道路管理者の基準に合わせる
- 後打ちコンクリートは平坦に仕上げる
橋桁は気温によって伸び縮みします。伸び縮みすると遊間の幅が変わるため、現状の伸縮装置の幅と合っていない場合がほとんどです。
これに対応できるように、施工前の装置に予備圧縮をかけて、調整を施した上で納品します。そのため、施工する際の平均気温などを参考にして、伸縮装置の発注をしなくてはいけません。
予備圧縮については、次の記事をご覧ください。
また、伸縮装置は装置固定用の埋込鉄筋にしっかりと溶接するのが一般的です。これは、後打ちコンクリートが固まるまで、装置を適切な位置や高さなどに維持することを目的に行われています。
伸縮装置の施工管理について
伸縮装置の施工が不十分だと、走行性が悪くなり、場合によっては破損を引き起こす可能性もあります。そのため、施工がしっかりとできるのか調べるため、施工管理をしなくてはいけません。
- 全体のスケジュール
- 伸縮装置の強度
- 施工の方法
- 施工当日の気候
- 製作および施工コスト
詳しくは次の記事で解説していますので、そちらをご覧ください。
以上です。伸縮装置の施工は、その後のメンテナンスにも大きく影響します。メーカーとしっかり協議をし、丁寧に行うことが大切です。