ゴムジョイントは伸縮装置の1つで、ゴム材やシール材を主として製造されています。
基本的には装置自体では車の重さを支えられないため、歩道や交通量の少ない場所に設置されているケースが多いです。
しかし、ゴム材は施工後の維持管理がしやすく、上を通る車への衝撃も少ないという特徴があります。そのため、ゴム材単体ではなく、鋼材と組み合わせた伸縮装置が一般的になっているのが現状です。
この記事では、ゴムジョイントの特徴について解説します。メリットやデメリットも踏まえてまとめるので、他の装置との違いも明確に理解できます。
ゴムジョイントの特徴
ゴムジョイントはその名の通り、主にゴム材やシール材を使用して作られる伸縮装置です。
伸縮装置を材料で分類すると、他にもフィンガージョイントと埋設型ジョイントの2つがあります。それぞれの主な特徴は以下の通りです。
種類 | 主な特徴 |
---|---|
ゴムジョイント | 主にゴム材で構成されたジョイント。 輪荷重を支えられないので小型の橋に設置される。 |
フィンガージョイント | 鋼材で構成されたジョイント。 伸縮量が大きいので主に大型の橋に設置される。 |
埋設型ジョイント | 特殊な舗装材で構成されたジョイント。 小・中規模の橋に設置される。 |
輪荷重とは、車のタイヤから伝わる荷重のこと。ゴム材は柔らかいので、ゴムジョイントは基本的に車の重さを支えられません。
ちなみに、鋼材のジョイントと埋設型は、次のような見た目になります。
ゴムジョイントの明確な仕様は分からない
伸縮装置の分類は、NEXCOの設計要領や国土交通省の道路橋示方書などに書かれています。ですが、それらには明確にゴムジョイントと書かれてはいません。
ゴム材,鋼材等で構成された一般的なジョイントや比較的大きな伸縮量に対応したフィンガージョイント,(中略)埋設ジョイント
道路橋示方書
鋼フィンガージョイント、ゴム系ジョイント、モジュラー型ジョイント及び埋設ジョイント
設計施工マニュアル(国土交通省発行)
鋼製フィンガージョイント,製品ジョイント,埋設ジョイント
設計要領(NEXCO発行)
そのため、ゴムジョイントはどんな仕様なのかははっきりしておらず、多くの場合は製品ジョイントの1つとして考えられています。
また、一部に鋼材を使用して製造した装置もあり、簡易鋼製ジョイントと呼ばれる場合も多いです。ゴムジョイントの歴史は、次の記事でまとめましたのでご覧ください。
≫伸縮装置博士を目指して! ~「ゴムジョイントって何だ?」編~
ゴムジョイントのメリット・デメリット
ゴムジョイントはゴムを主に使用しているため、ゴムの特性に関係したメリットとデメリットがあります。それぞれ順に解説しましょう。
メリット
メリットは次の3つが挙げられます
- 費用が安い
- 補修が簡単
- 衝撃吸収に優れる
鋼材と比べるとゴムは比較的安価なため、設置費用は安く済みます。また、劣化して補修をする場合でも、ゴムを剥がして取り替えるだけなので、施工時間も短く人件費等を抑えることが可能です。
そして、ゴムは柔らかいため、車両への衝撃が低減されます。車への振動が少なくなり、通行する際の音も静かなので、騒音の問題も起こりにくいです。
また、全ての方向に柔軟性があるので、地震の揺れや衝撃を吸収することもできます。
デメリット
デメリットは次の2つです。
- 遊間が短い
- 耐久年数が短い
ゴムジョイントは基本的に輪荷重を支えられないため、広い遊間には設置できません。そのため、大型の橋には鋼材をメインに使用した伸縮装置を使い、歩道や交通量が少ない小さい橋にゴムジョイントを使うのが一般的です。
また、鋼よりもゴムは劣化しやすいため、補修するまでの期間が短くなります。フィンガージョイントなら20年以上は使用できるのに対し、ゴムジョイントは10年ほどしか持ちません。
ゴムが劣化すると、伸縮装置から雨水が流れ込んで、橋そのものも痛んでしまいます。そのため、ゴムジョイントは定期的なメンテナンスが重要なのです。
純粋なゴムジョイントは少ない
ゴムジョイントには、耐久性に乏しいことと輪荷重を支えられないという大きなマイナスがあります。しかし、衝撃を吸収できるため、地震や騒音への対策として欠かせない材料です。
そのため、現在は鋼材とゴム材を組み合わせた伸縮装置がよく使用されています。見た目にはフィンガージョイントでも、内部はゴム材を中心にした構造であることも多いので、見分けることも非常に難しいのが現状です。