突合せ型は、歩道に良く使われている伸縮装置です。橋梁の車道部にも使用されていますが、耐久性と伸縮量の問題であまり多くは使われておりません。
構造としては、ゴム材を中心に作られることが多いです。そのため、コストが安くはなりますがデメリットもあるので、一部に鋼材を使用した装置も開発されています。
この記事では、突合せ型伸縮装置の特徴を解説します。メリットやデメリット、各社で製造される突合せ型の事例も紹介しますので、読めば概要をしっかりつかむことができます。
突合せ型の伸縮装置とは?
突合せ型の最大の特徴は、輪荷重を支えられないという点です。
自動車の1個の車輪を通じて路面に伝わる鉛直荷重のこと
そのため、遊間の狭い橋で見かけることが多く、車が通らない歩道によく使用されています。
基本的な作りはかなりシンプルで、橋の隙間をゴムやシール材などで埋める構造です。しかし、耐久性を上げるために鋼材や樹脂を使っているものもあります。
突合せ型伸縮装置のメリット・デメリット
現在の伸縮装置は、突合せ型以外にも荷重支持型や埋設型と種類があります。
突合せ型はメリットは多いもののデメリットの影響が大きいため、採用される率は過去に比べて減っているのが現状です。メリットとデメリットをそれぞれ解説します。
メリット
メリットは次の3つが挙げられます。
- コストが安い
- 維持管理がしやすい
- 走行性・静音性が高い
突合せ型の多くはゴムやシール材で作られています。鋼材よりも材料は比較的安く、構造もかなり単純なのでコストは安いです。
また、補修する場合も、ゴム材の部分を入れ替えるだけなので施工時間が短く済みます。
合わせて、ゴム材が衝撃を吸収するため、車両に伝わる振動も少ないです。走行中の音も大きくはないので、騒音の問題は心配ありません。
デメリット
デメリットとしては次の3つがあります。
- 耐久性が低い
- 劣化しやすい
- 狭い遊間しか設置できない
ゴム材を主に使用しているため、損傷のスピードがかなり早いです。鋼材であればメンテナンスをすれば20年ほど使用できますが、ゴム材は10年以内には劣化してしまいます。
劣化したゴム材をそのまま使用すると、亀裂から雨水が侵入して、橋の支承部分にまで影響が及ぶので危険です。
また、突合せ型は輪荷重を支えられないので、隙間(遊間)が狭い箇所にしか設置できません。そのため、小規模な橋や車の通らない歩道を中心に使われているのです。
突合せ型伸縮装置の事例を紹介
突合せ型はゴム材を使用することが基本です。しかし、耐久性などの観点から、鋼材も組み合わせて製品が製造されるようになりました。
各メーカーの装置から、3つをピックアップしてご紹介します。
RSジョイント
ゴム材の他に鋼材を使用しており、ゴム材が表に露出していないため劣化しにくく、耐久性が高い装置です。
地覆部に特徴があり、車道面から歩道面までが全て一体化しています。そのため、車道と歩道の隙間から水が漏れることがなく、橋への影響が少ないのが大きなメリットです。
ラバエースジョイント
鋼板にゴム材を使用した構造で、作りはとてもシンプルです。導入する際のコストをメインに考えており、製品と施工の両方で経済的なメリットがあります。
しかし、補強鋼板やアンカーを使い、床版と一体化させることで耐久性もしっかりと確保された装置です。
シーペックジョイントWR
本体にアルミ合金を使用しており、自然環境にとても強く、海沿いでも設置ができる装置です。
アンカーバーに圧力をかけて、しっかりとコンクリートに固定しているため、緩みやガタつきの心配がありません。また、航空機に使われるアルミ合金を使っているので、耐久性も非常に高いのが特徴です。
以上です。この他にも、各社に様々な荷重支持型の装置がありますので、以下のページを参考にご覧ください。