硬化時間が短く高い強度を実現する特殊コンクリートのこと。
超速硬コンクリートとは、硬化時間が短く高い強度を実現する特殊コンクリートのことです。
通常伸縮装置の取替工事においては、当日中に交通解放を行うことが一般的であり、また、夜間施工を実施する場合では、翌朝には工事を終えるなど時間の制約が設けられます。
そのため、コンクリート打設の際には養生時間の短縮が求められます。
そこで作業性を高めるべく採用されるのが、超速硬コンクリートです。
他のコンクリートとの違いや打設方法、製品を取り扱う企業紹介を通して、日本の交通インフラを支える特殊技術について触れていきます。
レディーミクストコンクリートと超速硬コンクリート
コンクリート打設の際に使用されるレディーミクストコンクリートは、土木工事での使用頻度が最も高いコンクリートです。 材料や運搬方法の違いなど、超速硬コンクリートとの比較しつつそれぞれの特徴を見ていきましょう。
レディーミクストコンクリート
レディーミクストコンクリートは、土木工事の際に使用される一般的なコンクリートであり、別名生コンクリート(生コン)とも呼ばれます。
材料には、水、セメント、砂利や砂といった骨材、そして緩和剤が練り込まれており、工場で配合され混ざり合ったものが、ミキサー車によって現場に運ばれます。
ミキサー車を見かけると、タンク部分がゆっくりと回り続けている様子を目にすることがありますが、中では打設前のコンクリートが攪拌されており、生コンが凝結しないよう常に回転が加えられています。
レディーミクストコンクリート品質を保つ4つの指標
- スランプ
コンクリートの柔らかさを示す数値のこと。スランプ試験において生コンの硬さを見極めます。(値が高ければ流動性=柔らかさのあるコンクリートであり、数値が低ければ硬いコンクリートと識別できる - 強度
テスト用に生コンを型に流し入れ、上下から圧力を加えます。どの程度の圧力がかかると破損が起きるか測定を行います。 - 空気量
コンクリート内の空気量は強度に関わる重要な部分であり、規定されている空気量、4.5%±1.5%に収める必要があります。 - 塩化物含有量
ディーミクストコンクリート内に含まれる塩分量の値であり、1㎥内に0.3kg以上の塩分を保有する生コンは使用できません。
コンクリートの柔らかさを示す数値のこと。スランプ試験において生コンの硬さを見極めます。(値が高ければ流動性=柔らかさのあるコンクリートであり、数値が低ければ硬いコンクリートと識別できる)
超速硬コンクリート
別名ジェットコンクリートとも呼ばれる超速硬コンクリートは、3時間で24N/mm2の強度が出るなど、作業性に優れた特殊コンクリートです。
硬化時間が短いことから、工事の時間短縮が実現できるメリットがあり、施工の時間が限られている取替工事や、工期が迫っている場合などに用いられます。
材料は超速硬プレミックスモルタルや粗骨材、繊維などを混入することで、ひび割れへの抵抗性や耐久性面での強度増進が期待できます。
2通りの打設方法ミクストコンクリート品質を保つ4つの指標
レディーミクストコンクリートが工場で練り込まれるのに対し、超速硬コンクリートは現場練りが行われます。
硬化性に優れている超速硬コンクリートは、運搬中に材質が凝結し使用することができなくなってしまいます。
施工性を高めるため、打設の際は下記の2つの方法が採用されます。
【手練り】
現場状況や環境に合わせ、必要とするコンクリート量を調節し施工していきます。温度管理や効果時間調整剤の配合管理は熟練を要するところであり、添加量の調節などは特に、工事全体の進行に関わる要所だと言えます
【コンクリートモービル車】
全国で数十台しかないコンクリートモービル車は、超速硬コンクリートを現場で練り込み吐出する大型の特殊車両です。
コンピューターによる計算管理に加え、安定した連続供給が行えるため、大規模工事の際でも良好なコンクリートが混練できます。
施工状況に合わせ、コンクリートの吐出量を調節することも可能であり、正確性と汎用性を兼ね備えた車両であることから、橋梁、湊湾、鉄道工事など幅広く活用されています。
メーカー3社
超速硬コンクリートを取り扱うメーカーは3社です。
それぞれの製造会社と製品名をご紹介します。
製造会社により、材質の特性や圧縮強度、硬化までの時間が異なるため、現場環境に応じた製品を選び施工に活用します。
メーカー名 | 製品名 |
小野田ケミコ株式会社 | スーパージェットコンクリート |
住友大阪セメント株式会社 | ジェットコンクリート |
デンカ株式会社 | デンカスーパーコンクリート |
まとめ
超速硬コンクリートとは、作業性を高め耐久性や圧縮強度を発現する特殊なコンクリートのことでした。
通常使用されるレディーミクストコンクリートとは異なり、現場で混錬しなければならない理由は、短時間で硬化が始まってしまうからであり、手練りで打設を行う際には温度管理や混和剤といった調整を要します。
時間の制約がある施工工事において、円滑に作業を行うために採用される超速硬コンクリートは、日本の道路を下支えする重要な役割を担っています。