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橋台・橋脚とは – 橋梁を支えるもの

橋脚

【橋台】(きょうだい)

橋の始点・終点を支える下部構造のこと。

【橋脚】(きょうきゃく)

橋の途中を支える下部構造のこと。

橋脚

橋台および橋脚は橋の上部構造を支える下部構造のことで、橋台はアバットあるいはアバットメント、橋脚はピアとも称されます。
橋台上では桁端部と橋台パラペットの間に伸縮装置が設置されます。
橋脚上では桁端部となっている場合に伸縮装置が設置されますが、この伸縮装置は桁と桁との間に設けられるのみで、橋脚への影響はありません。

橋台及び橋脚の基本機能

橋脚イメージ
「Go! 伊勢崎」より引用

橋台の機能は橋(上部構造)の両端にあって上部構造を支え、上部構造の自重、車両などの活荷重、上部構造が受ける地震や風からの力をスムーズに地盤に伝えることです。
また、橋台は道路部と橋梁部との境界にありますので、橋台背面の土砂(道路を構成している土砂)が流出しないよう土留め壁の機能も有しています。
そのため背面からの土圧にも耐えられる構造でなければなりません。
このような機能を満足させるために、橋台の形状や構造が特異なものになっています。

橋脚の機能は橋(上部構造)の中間にあって上部構造を支えることであり、上部構造からの力を地盤に伝えることは橋台と同様です。
橋が比較的短い場合には両側の橋台のみでよく、橋脚は必要ありませんが、橋が比較的長くなると上部構造との関係で橋脚が配置されます。

橋が谷を渡る場合は橋脚の高さが必然的に高くなり、耐震安定性の配慮が必要です。
一方、平地や幅広の河川、都市内などではあまり高くない橋脚が多数連続して立ち並ぶこともあります。
これらの橋脚は多くの人の視野に入ることも多いため、しばしば景観・美観周辺環境との調和に配慮した設計がなされます。
橋脚が河川や海の中に設置される場合は、流水や波浪、洗堀などに対して安全なように設計されます。

橋台と橋脚の種類

橋は、建設地域の自然環境景観に合わせた形で細密な設計が行われます。
例えば「美しすぎる橋」として国内外で有名な山口県の角島大橋では、途中曲線を採用した橋梁の設計がなされており、コバルトブルーに輝く海と、建造物との調和を図った架設工法が取られています。
全国にある架橋の種類は多様にあり、それにともない橋台・橋脚の姿も異なりを見せます。

橋台の種類

重力式橋台

自重のみで外力に抵抗する方式の橋台。
原則として各部に引張応力が働かない形状になっており、ひび割れ防止筋程度の鉄筋が配置されます。
高さは5m程度以下の小規模な橋台に限定されます。

逆T式橋台

自重と背面フーチング上の土砂重量によって外力に抵抗する方式の橋台。
フーチングと竪壁の構成が逆T型に見えることからこの名称がつけられました。
高さは概ね5mから15mの範囲で多用されており、最もポピュラーな橋台形式です。
土圧軽減工法を併用すると、高さ20m程度まで可能です。

箱式橋台

比較的大型の橋台で、高さが概ね15m以上の場合に用いられます。
地盤条件が良好でない箇所に用いると、橋台重量を軽減できるために有利ですが、軽量であると耐震安定性が低下するために、箱内部に部分的に土砂などを充填して安定性の向上を図ることが行われます。

ラーメン式橋台

橋下を横断する道路や水路を通すために、逆T式橋台の背面に竪壁と一体化された貫通ボックスが設けられている橋台。
このボックスにより橋台全体が角型ラーメン構造となっているためにこの名がつきました。
道路や水路を橋台の前面に配置できない場合に採用することが多い形式です。

橋脚の種類

橋脚は一般に鉄筋コンクリート製ですが、都市内高架橋や軟弱地盤上の橋脚では鋼製橋脚が用いられることがあります。
以下に示す橋脚はコンクリート製を前提としています。

壁式(柱式)橋脚

「デイリーポータルZ」より引用

躯体が壁状あるいは柱状の橋脚。
壁式の場合は断面形状が一般に矩形ですが、柱式の場合は円形もあります。
橋脚の規模が大きくなると、材料軽減や耐震安定性向上を図って内部を中空とすることがあります。
構造により数10mの高橋脚とすることが可能です。

T型橋脚

「デイリーポータルZ」より引用

壁式(柱式)橋脚の頂部に張り出し構造(片持ち梁)を設けて、幅員の広い上部構造を支持できるようにした橋脚。
構造により数10mの高橋脚さにすることが可能です。

ラーメン橋脚

ラーメン式橋脚
Wikipediaより引用

一般に1基の下部構造から2基の壁(柱)を立ち上げ、その頂部を梁で連結して上部構造を支持する形式の橋脚。
連結する梁が壁(柱)の頂部のみであれば1層ラーメン橋脚、壁(柱)の中間部も横梁で連結していれば2層ラーメン橋脚と呼びます。
1層ラーメン橋脚は高さ5mから15mの範囲で、2層ラーメン橋脚は15m~25mの範囲で用いられることが多い形式です。

二柱式橋脚

1基の下部構造から2基の壁(柱)を立ち上げ、その頂部は連結せず独立壁(柱)のままとした橋脚。
高さ15m以下の橋脚で用いられることが多い形式です。

橋脚形状の選定方法

橋脚の選定は、建設現場の自然環境や地盤条件、水深、その他土地の景観を鑑みつつ、総合的な判断のもと行われます。
前述の角島大橋では、日本海に位置するために塩害や波圧、季節風など様々な角度から安全性が求められます。
冬季の厳しい環境に耐えるため、上部構造と下部構造で異なる架設工法を用い、遮塩効果のある化合物を塗布するなど一般的な橋梁とは異なる施工法が採用されました。

このように土地の特徴を見極め、橋の規模や上部構造との兼ね合いを緻密に計算することで適切な橋脚の選定が行われています。また、河川内など水中に建設される橋脚の形状は、“河川管理施設等構造令”に基づき、定められた規定(方向・形状など)を守り設計が進められます。

橋台および橋脚の点検

橋台および橋脚ともに基本的には鉄筋コンクリート製ですから、一般の鉄筋コンクリート構造として点検を行います。
すなわち、「ひびわれ」、「剥離・鉄筋露出」、「漏水・遊離石灰」、「浮き」、「補修・補強材の損傷」、「変色・劣化」、「漏水・滞水」、「変形・欠損」についてこれらの有無、損傷が生じていればその程度を点検し記録することになります。

特に橋台および橋脚に発生する特有な損傷としては、「沈下・移動・傾斜」があります。
橋台においては背面からの土圧によって移動や傾斜が発生します。
とくに橋台が杭基礎で支持されている場合には注意が必要です。
橋脚では河川中にある場合、洗堀により沈下や傾斜が発生します。
橋脚の大きな傾斜は直ちに上部工の崩壊につながるため、これも注意すべきことです。

橋台の傾斜は、傾斜量が小さな場合は目視で把握しにくいのですが、桁端部とパラペットの位置関係を見ることにより比較的容易に確認できることがあります。
また、下げ振り(錘)によって傾斜量を計測することも可能です。

橋脚が鋼製の場合は、やはり一般的な鋼構造物として点検を行います。
すなわち、「腐食」、「亀裂」、「ボルトのゆるみ・脱落」、「破断」、「防食機能の劣化」(すなわち塗装や亜鉛めっきの劣化など)が主たる点検項目となります。

耐震補強工事は全国で行われ、コンクリート被覆やシート被覆などが多用されていますが、これらの劣化、損傷も大きな問題です。
点検に当たってはこれらの補修補強工事についても見落としのないように点検する必要があります。

橋梁の点検では目視点検が原則であり、近接目視点検遠望目視点検があります。
近接目視点検では目視といっても損傷部を手で触り、緩んでいるかもしれないボルトは点検ハンマーで叩き、ひび割れについてはクラックスケールを当ててひび割れ幅を確認する必要があります。
5年に一度の定期点検ではこのような近接目視点検が必須となっています。
対象から数mも離れてしまうと細かなひび割れは確認できませんので、このような点検は近接目視とは言えないのです。

身近で行われる耐震補強工法

地震大国である日本では、有事の際に落橋する大事故が過去に何度もありました。橋が耐震性を保つために身近なところで行われる2つの耐震補強工法についてご紹介します。

鉄筋コンクリート巻き立て工法

橋脚のまわりを鉄筋コンクリートで巻き立てる事により、靭性(物が破壊される際に抵抗する性質)やせん断耐力を高める工法です。
維持管理がしやすくコストを抑えられる点が特徴です。

合板巻き立て工法

橋脚のまわりを合板で巻き立て、隙間に充填材を埋め込むことで靭性や曲げ耐力を高める工法です。
橋梁断面の増加を抑えられることから、側方余裕幅が小さい橋脚に採用されます。

伸縮装置との関係

伸縮装置との関係はどうでしょうか。

橋脚のあるところの真上には、伸縮装置が設置されているケースが多いです。
橋台+橋脚の数が伸縮装置の箇所数ということですね。
もっとも、橋脚を跨ぐような連続桁や、橋脚の位置と伸縮装置の位置がずれるゲルバー橋である場合はこの限りではありません。

そして、橋台や橋脚があるところには支承があります。
支承の項でも触れている通り、伸縮装置の選定に当たって行う簡易計算に、支承のタイプというのが大きく関わります。

万が一伸縮装置から漏水してしまったときには、そこに設置されている支承、また橋台・橋脚そのものにもダメージがあります。

伸縮装置からの漏水イメージ
上図は橋台について書かれているが、橋脚でも同様

橋台や橋脚のタイプが何か、ということは伸縮装置にはあまり関わりがありませんが、常に近くに存在する仲間であることには違いありません。

まとめ

下部構造には既に述べたように様々な形式、構造があります。
当時の担当者がその構造のみでなく、周辺との調和や使用する人たちの利便なども考えて設計し、建設した成果です。
橋台も橋脚も通常は目立つ上部構造の下にあって、上部構造を支えている存在です。
しかし、これら下部工がなければ橋梁はその役目を果たせません
橋台も橋脚もそれぞれの橋において上部構造同様にそれぞれの個性を発揮しています。

橋梁を見るときには、上部構造だけでなく下部構造にも着目して、それを設計した設計者の意図、建設した工事担当者の苦労などに思いをはせていただきたいと思います。
なぜあんな形状になっているのか、配管はどうか、上部工との取り合いはどうかなど、疑問は尽きることがありません。
下部構造についても知識が増えると、橋梁を見る目がさらに異なってくると思います。