橋梁の長寿命化が叫ばれている昨今、
伸縮装置に求められる性能といえば、止水性能です。
各メーカー、止水性能を高めるために日々改良しています。
では、なぜ止水性能が求められるのか。
まずは止水性能が求められている理由を解説していきます!
橋梁の構造

(㈱クリテック工業 ホームページより抜粋)
伸縮装置の下には橋を支えている支承があります。
伸縮装置から漏水が起きたら・・・?

このように、支承に水が伝わり、支承に錆び・腐食が起きてしまいます。
橋を支えている支承が劣化すると、橋そのものの寿命が短くなってしまいます。
もちろん、支承だけでなく、橋桁端部にも損傷が及ぶことも多く、大きな問題になっています。
橋の寿命を長くするためにも、伸縮装置の止水性能が求められるのです。
漏水対策に最も大切なのは、止水性能の高い製品の選定であることは言うまでもありません。
しかしながら、地震や事故等の衝撃や、道路上のゴミ(タバコの火、鋭利な物など)による
止水部材の破損により漏水が起きてしまうこともあります。
もし漏水が起きてしまったら、どうすればいいのでしょうか?
漏水への対処法
①止水部材の補修(ゴム、弾性シール材)
簡易鋼製ジョイントは、ゴムや弾性シール材による止水機能を有している製品が多数あります。
ゴムの亀裂等により漏水している場合は、止水ゴムの補修。
弾性シール材の劣化・減少等により漏水している場合は弾性シール材の最充填となります。
しかし、止水ゴムの補修や弾性シール材の最充填が可能か製品により異なりますので、
メーカーに確認しましょう。
止水ゴムの補修で行うのは、ゴム同士の接着です。
同素材同士の接着は比較的簡単なため、元通りゴムを接着することで止水機能が復活します。
弾性シール材が止水部材の場合は弾性シール材の最充填となります。
既設弾性シール材を清掃し、設計量再充填します。
②排水、集水装置の設置
製品本体の下に、もう一つ止水材を設置する方法です。
(ここでは、製品本体に設置又は施工時に設置する二次止水材(後述)とは区別します)
漏水が起きてしまった箇所の下に新たに樋を設置して集水し、橋座の外に排水します。
壁を伝ってくる水もあるため、排水装置と壁の止水にも気を付けましょう。
③取替工事
伸縮装置の劣化により漏水が発生している場合は、取替工事が適切でしょう。
漏水した原因、劣化状況などから、新設の伸縮装置の選定を行いましょう。
各メーカー、止水方法が異なりますので、しっかりと比較検討しましょう。
前述にあります二次止水材とは、製品本体の一番上の止水部材とは別に、製品下に設置する
もう一つの止水部材のことです。
あらかじめ製品本体に設置又は施工時に製品下に設置します。
2重の止水となり止水性が高くなりますが、製品本体とは別途であることが多く、
コストが上がってしまいます。
一次止水でしっかりと止水できるような製品を選定することをオススメします!
まとめ
■まずは漏水の状況を確認しましょう。(劣化によるのか、部材の補修で対処可能か)
■製品選定時にどのような止水方法の製品なのか確認し、選定しましょう。