バックアップ材とは、シーリング工事の下地として使用されるスポンジのようなものです。この下地は建築物などの隙間を埋めること以外に、漏水を防止するなどの重要な働きをしています。
橋梁の伸縮装置にも使用されることが多いです。これは、装置からの漏水を防ぐ非排水型が求められることが大きな要因で、バックアップ材はその止水性を高める上で重要な役割を果たしています。
この記事では、バックアップ材の概要や必要な機能についてまとめました。また、伸縮装置におけるバックアップ材の役割も解説しています。
バックアップ材とは?
バックアップ材は建築や建設現場のシーリング工事で使われる資材です。シーリング工事とは、建物の外壁ボード間の隙間や、外壁とサッシの接合部を埋める作業のことで、雨水の侵入を防ぐなどの効果があります。
バックアップ材はシーリング作業の下地として使用され、接着剤であるコーキング材と引っ付かないことで力を発揮しています。
コーキング材で隙間すべてを埋めると、各外壁と躯体の三面がすべて引っ付いてしまい、温度変化による伸縮でコーキング材が剥がれてしまうのです。
この現象を防止し、加えてコーキング材の節約にも役立つのがバックアップ材です。
バックアップ材に求められる機能
バックアップ材の素材にはポリエチレン発泡体がよく使われています。これは、バックアップ材に必要とされる以下4つの機能を満たしているためです。
- コーキング材と接着しない
- 柔らかく復元性がある
- 耐水性が高い
- 軽量である
接着剤であるコーキング材と引っ付かず、周辺の各材料が伸び縮みしても対応し、屋外の雨などにも強いこと。加えて、作業がしやすく施工部に負担もかからないほど軽い、という点が求められる機能です。
現在はこれらに加えて吸音性があるバックアップ材もあります。使用される素材も高弾性のウレタンフォームなどが登場しており各社で様々です。
伸縮装置におけるバックアップ材の役割
伸縮装置は主に以下2つの働きをしています。
- 橋梁の伸縮に対応する
- 橋下への漏水を防止する
漏水が起きると橋の支承が錆びてしまい、耐久性が落ちて安全性が損なわれます。そのため、現在の伸縮装置はどれも非排水型です。
バックアップ材はフィンガージョイントなどの下部に設置されています。古いタイプの伸縮装置では、ジョイントの下に排水樋を作って漏水を防止していましたが、樋に土砂が積もると十分に機能しないため、現在はバックアップ材と弾性シール材による非排水化が主流です。
以上、バックアップ材について解説しました。なお、伸縮装置からの漏水の影響については、以下の記事でまとめていますのでご覧ください。