全国の橋梁の現状
大変だ~!
突然どうしたの?
近くに古い橋があるんですけど、けっこう傷んでるみたいです!
すぐに修繕した方がいいんじゃないかと思って…!
それは大変ね。
ところで、全国の橋梁数は約73万橋あるの。
そのうち、建設後50年を超えた橋梁の割合は、
10年後の2032年度には何%になるか知ってる?
10年後…、20%位でしょうか。
なんと、59%にもなるのよ。
59%!?そんなにですか!?
立地環境が厳しい箇所など、一部の構造物で
老朽化による重大な損傷が顕在化しているんだ。
うーん、早く修繕していかないと…。
そう簡単な問題じゃないんだ。
市区町村の施策が進まない理由とは
さて、全国の橋梁数、約73万橋のうち
地方公共団体が管理する橋梁は
全体の9割以上になるんだ。
そしてこれも見てほしいんだけど…。
橋梁管理に携わる土木技術者が
存在しない市区町村の割合は、
市区5%、町22%。村だと56%にもなるんだよ。
え~そんな~!
橋梁管理に携わる土木技術者が
いない市町村があるんですか!?
社会情勢や財政事情が変化して、
道路や道路構造物の維持管理費が削減されたり、
地方自治体の技術者が削減されて
点検すらままならないところも増えているんだ。
道路構造物の老朽化は、
静かに進行しているんですよね。
ある日突然、橋が落ち、
犠牲者が発生し、経済社会が大きな打撃を受ける…。
そんな事態はいつ起こっても不思議ではないんですよね。
どう対策したらいいんでしょうか。
落ち着いて。
国や地方自治体、関係機関が連携して対策を進めているよ。
見てみよう。
道路や橋梁等の老朽化対策に関する取組み
定期点検、及び道路管理者の義務の明確化
知識と技能を有する者が5年に1度、近接目視を基本とする全数監視を実施。
老朽化の現状・老朽化対策の課題(国土交通省)-p.5
点検を行ったときには、施設の健全性の診断を行い、
その結果を統一的な区分に分類する。
「道路メンテナンス会議」を設置
関係機関の連携による検討体制を整え、課題の状況を継続的に把握・共有し、
老朽化の現状・老朽化対策の課題(国土交通省)-p.6
効果的な老朽化対策の推進を図ることを目的に、全都道府県に設置。
全国各地に「道路メンテナンスセンター」を設置
2019年より順次設置。
老朽化の現状・老朽化対策の課題(国土交通省)-p.7
地域のメンテナンス拠点として、地方公共団体の施設の診断・修繕の代行、
高度な技術を要する施設に関する相談、点検に関する技術指導や研修を実施。
現地見学会の開催
大学等と連携し、橋梁の現地見学会等を実施することによって
道路の老朽化対策の本格実施について(国土交通省)-p.10
老朽化の現状や対策への地域住民・学生等の理解を促進。
道路施設点検データベースの公開
道路構造物(橋梁、横断歩道橋、トンネル等)及び
全国道路施設点検データベース[損傷マップ](国土交通省)
舗装、特定道路土工構造物の点検により判明した現状・対策状況について、
マップ形式にしてWebサイトで公表。
すごい!
損傷マップは橋梁の場所、診断結果の分類が
見える化されているんですね。
すごく便利です!
伸縮装置メーカーの取組み
橋梁の伸縮装置については
どうなっているのでしょうか。
全国的に伸縮装置の修繕は課題だけど、
特に積雪寒冷地における伸縮装置が
問題になってるんだ。
積雪寒冷地の環境というのはかなり過酷なのよ。
・凍害や凍結防止剤等による塩害
・除雪作業に伴う衝撃作用
・土砂や圧雪による損傷
・低温時の性能不足による損傷
そんな過酷な条件もあって、
伸縮装置の劣化損傷が進んでいるの。
近年の積雪量は
ものすごい量ですからね。
積雪寒冷地の橋梁や伸縮装置は
どんな状況なのでしょうか。
2015年度までに点検が実施された北海道の
橋梁4,006橋(図-2)を調査すると
「速やかに補修等を行う必要がある橋」は
30%の1,198橋にもなるんだ。
出典:積雪寒冷地における橋梁用伸縮装置の劣化損傷とその対策(寒地土木研究所)
そんなに!?
そして、橋の劣化損傷の傾向を分析すると、
伸縮装置の損傷が19%となっているんだ。
出典:積雪寒冷地における橋梁用伸縮装置の劣化損傷とその対策(寒地土木研究所)
その上、支承部が23%となっているんだけど
支承が傷む大きな原因のひとつは
伸縮装置の損傷、漏水によるものなんだ。
だから、実質23+19=42%が
伸縮装置の損傷が原因と言えるんだ。
と言うことは、
伸縮装置を改良することで
橋梁の長寿命化につながりますね。
そのとおり!
メーカーはそういった過酷な環境にも耐えられるように
伸縮装置を日々改良しているのよ。
どんどん新技術が開発されていくと
いいですね。
まとめ
定期点検は、2014年~2016年の1巡目を終え、
2018年から2巡目に入ったんだ。
2巡目の点検は着実に進捗しているようですね。
でも問題があるんだ。
出典:道路メンテナンス年報[2021年度・概要](国土交通省)
1巡目点検で修繕が必要とされた
橋梁の修繕等措置状況をみると
地方公共団体の措置着手・完了率が低水準であり、
5年以上経過後も約3割の橋梁が未着手なんだ。
まだまだ難しい問題ですね。
橋梁老朽化の現状や取組みがよくわかりました。
みんなで協力して
現状を変えていきましょう!