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簡易計算はもう使えない!?これからの伸縮装置選定計算

簡易計算はもう使えない!?これからの伸縮装置選定計算

平成29年11月、5年ぶりに道路橋示方書が改訂されました!
これまでも何度も改訂されている道路橋示方書ですが、今回はかなり大幅に改訂されています。
特に、照査方法(*1)や活荷重応力(*2)が変更になるなど、設計や積算の根本ともいえる
部分で大きく変更が加えられました。
照査方法(*1)許容応力度法⇒部分係数法へ変更となった
活荷重応力(*2)鋼材100%⇒150%、表面ゴム40%⇒75%へ変更となった

 

伸縮装置に関わる部分も、計算式に追加・変更が加わっています。
この記事では、主に道路橋示方書で変更になった選定計算の仕方についてご紹介します!

 

そもそも選定計算は、伸縮装置の選定にあたり橋の伸縮量を計算し、
どの製品が最適であるのか判断するために行うものです。
伸縮装置の選定に必要となるのは、
主に①伸縮量と、②標準遊間の二つの要素が必要となります。

 

伸縮量計算において、以前の道路橋示方書では「簡易計算式」が一般に使用されてきました。
この簡易計算式は、道路橋示方書を基準として各地方自治体、高速道路公社などでも
引用されていました。

橋種 鋼橋 RC橋 PC橋
伸縮量 ①温度変化 0.6L(0.72L) 0.4L(0.5L) 0.4L(0.5L)
②乾燥収縮 0.2Lβ 0.2Lβ
③クリープ 0.4Lβ
基本伸縮量 0.6L 0.4L+0.2Lβ 0.4L+0.6Lβ
(①+②+③) (0.72L) (0.5L+0.2Lβ) (0.5L+0.6Lβ)
余裕量 基本伸縮量×20%。ただし、最小10mm
(施工誤差が大きい場合は別途考慮)

しかし、残念ながら今回の改訂で簡易式の項目は削除されました。

 

簡易式に慣れていた方にとっては、なんだか難しくなったな…と思われるかもしれませんが、
基本的な考え方や計算方法は変わっていません。
これまで簡易式では省略されていた係数を、支承の計算と同様に計算しよう!というのが
主な趣旨だからです。

次の項目で、主な変更点6点をご説明します!

 

変更点

その① 単位が「m」から「mm」に変更となった
計算式の単位が、簡易式はmでしたが、mmに変更になりました。
これにより図面の数値をそのまま使用できるようになりました。
線膨張係数も、mmからmへ変更する必要がなくなったので、係数をそのまま使用することができます。

 

その② 余裕量+伸縮量の20%(10m以下の場合は10mm)から+10mmに固定へ
伸縮量の余裕量は、これまで伸縮量の20%を足すこととされていましたが、基本10mmに変更されました。

 

その③ たわみ量の計算が追加された
道路橋示方書には、「橋面伸縮装置部の活荷重たわみについては、構造解析より求めた値を用いることを
原則とするが、従来同様に式を用いて算出する。」とあります。
クリープや乾燥収縮量とは異なり、新設・補修両方で計算が必要です。

 

算出の仕方は下記の通りです。
ΔLr=Σ(hi×Θi)
・hi:桁の中立軸から回転中心までの距離:桁高の2/3
・Θi:桁の回転角:鋼橋1/150°/PC・RC橋1/300°

 

注意すべきは、注釈の部分に記載されている「単純桁の可動支承の場合は2倍」という記述です。
なんのことか?と申しますと、単純桁とは桁が連続していない図のような状態の橋のことを指しますが、

このような橋の場合、桁上に車(荷重体)が乗ると、その地点を中心に力が加わり、桁がたわみます。
 

すると、A1側は固定されていますが、A2側は可動支承なので、固定端における影響が
加算され、たわみ量が約2倍となるのです。
見落としやすいので、もし資料を作成される場合はご注意ください。

 

その④ 省略されていた固定の係数を考慮するようになった
これまで乾燥収縮や、クリープの係数は簡易式では固定され省略されていましたが、きちんと
橋の状況に合わせて当てはめるように変更されました。
追加された係数は下記の通りです。

 

・コンクリートの材齢
・プレストレス導入直後のPC鋼材の引っ張り力
・コンクリートの断面積
・ヤング係数
・クリープ係数

 

その⑤ 標準温度が変更された
温度範囲に変更はなかったものの、基準の温度が支承と統一された結果、変更になりました。
普通地域の標準温度が20℃、寒冷地が10℃になっています。

 

その⑥ 地震時余裕量の考え方が変わった
以前は15mmと明記されていましたが、伸縮量の余裕量は施工誤差等を考慮して個別に
設ける形に変更となりました。

まとめ

今後の業務で注意すべきは、伸縮量に増減が発生する可能性がある(製品が変わる)ことでしょう。
標準温度が変更されたため、製品遊間設置幅の数値が変わるなどの影響もあります。

 

最終的には新改訂版道路橋示方書の基準へ変わっていくはずですが、しばらくは改訂前の仕様書に
従うのか否か、確認が必要になると考えられます。
受発注の際は意思確認をきちんと行い、間違いのない製品選定となるよう注意しましょう。

 
 
 

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